FAS会計士ハヤマの仕事術

大手監査法人を経て、Big4 FASのバリュエーション部門で働く会計士が呟く仕事術 etc.

M&Aアドバイザリー業務の変容

今後M&A件数の減少とともにアドバイザリー業務を取り巻く環境はおおきく変わりそうです。 まずM&A件数の減少により報酬が下落します。 アドバイザーの数は変わらないので、より買手(発注者)市場になっていくでしょう。 景気が良かった頃の30%減ぐらいでし…

新型コロナのインターネットビジネスへの影響

外出規制により、インターネット需要が増えています。 在宅勤務で自宅の回線につなぐのですが、同じ状況の人たちが多いせいか以前に比べて明らかに速度が遅いです。 こんな状況だからインターネットビジネスは儲かるだろうし株価は上がっているんだろうなと…

M&Aの価格交渉②

売手目線で提示する価格を決めるにあたり基礎とする価値には2種類あります。 ①売却対象そのものの価値 株であったり事業であったりする売却対象そのものの価値です。 買手が受け取るもの自体の価値ですので買手としてはわかりやすい。 一方で買手がトランザ…

M&Aの価格交渉

FA業務の中でバリュエーション結果に基づいた価格交渉戦略をアドバイスする機会があります。 その際気をつけている点をまとめてみました。 ①交渉スタンス 交渉タイプはゼロ・サム交渉(固定されたパイを分け合う交渉)とプラス・サム交渉(パイそのものを拡…

在宅共働きで大切なこと

我が家では夫婦ともに在宅リモートワーク中です。 3月下旬から私が、4月に入って妻が、会社に行くことが無くなりました。 初めての経験で不仲にならないかと心配でしたが、今のところうまくいってると思います。 大切にしているのは「適度な距離感」です。 …

財務モデルのレビュー

仕事柄、多くの財務モデルをレビューします。 チームメンバー、クライアント、他ファームのアドバイザーなど作成者は様々ですが、レビューコメントは大体似たようなものになります。 それは前提条件の整理が不足している点。 例えば以下のFCFモデルには3点コ…

コロナとオリンピック銘柄

新型コロナウイルスの影響で下がった日本銘柄も、東京オリンピック延期の正式決定や、緊急事態宣言により若干持ち直してきました。 一方でオリンピック銘柄と言われる銘柄の株価回復にはまだ時間がかかりそうです。 こちらは2020年2月の株価を100%として、日…

売手目線のカーブアウトPLに共通費をどこまで含めるか

自社の事業をカーブアウトして売却したいと考えたとき、売手はまずカーブアウト財務諸表を作成します。 PLを作成するにあたり共通費の範囲を決める必要がありますが、バリュエーションをどのような観点で実施するかによって変わってきます。 買手に提示する…

インプットの時間

コロナの影響でプロジェクトの動きがスローになり、かつリモートワークで通勤時間がゼロなので、浮いた時間は本を読んでインプットに充てています。 古い本を読み返しているのですが、今読み返すと以前理解できなかった論点がすんなり入ってくることが多々あ…

カーブアウト財務諸表作成からのバリュエーション(ROIC分析)

売手クライアントが売却検討している事業のカーブアウト財務諸表作成からバリュエーションまでサポートする仕事。 それにROIC分析を組み合わせたら面白いんじゃないかと考えて試行錯誤しています。 カーブアウト財務諸表作成はもともと区分管理されていない…

新型コロナウイルスが与えるFAS業務への影響

新型コロナウイルスの影響が続々と表面化しています。 担当するFA業務の多くは中断し、いつ再開するか不透明な状況。 とくにアウトバウンドは壊滅的で、クライアントが現地で実地調査や交渉ができないのでプロジェクトが前に進まない。 すでに動いているプロ…

いま行きたい場所

1年のうち3回ぐらいは海外に行きたい。 それは旅行でも仕事でも良くて、心持ちを新鮮に保つために。 ずっと同じ場所にいて、変わりばえのないのが苦手なので、適度に海外に行って見たことのないものを見たい。 そうすると戻ってきたときに日常に特別感を感じ…

入札方式におけるバリュエーション

久しぶりに入札方式のバリュエーションプロジェクトに参加しています。 色々な場面でバリュエーションは必要ですが、入札方式はクライアントがとても熱心になるバリュエーションのひとつです。 競争相手がいる 他に競争相手がいることで、負けたくないという…

どうしても言いたいことが無い

専門家として働いていると、自分の主義・主張を貫ける人が強い風潮がある。 右も左も分からないクライアントを引っ張ることができる。 チームメンバーもそんな人を頼りにする。 ただそこまで強い想いを持たない専門家もいる。 クライアントのやりたいように…

貯金しようとして貯めるか、投資の結果貯まっていくか

意図的に貯金しようと思ったことはありません。 使いたいように使って、結果的に残った分が貯金となります。 何のために貯金するかも分からない 夫婦共働きであって子供がいなければ、貯金する目的は見出しづらい。 私が貯金していなかったとしても妻の収入…

休暇中の仕事とモチベーション

休暇中であっても仕事が発生すれば対応するのがアドバイザーの宿命です(働きかた改革で徐々に改善されてはいますが)。 その際にモチベーションが上がるか下がるかは、仕事への関わり方で変わってきます。 自分が作る(作った)仕事はモチベーションが上が…

専門家の利用のコツ

仕事を進めるうえで専門家のアドバイスを受ける場面があります。 M&Aでいえば財務・税務・法務などの専門家からのデューデリジェンスやバリュエーションといったアドバイスがあります。 身近な場面では取引先との契約書締結時の社内法務からのアドバイスなど…

ファンダメンタル分析とトレンド分析

一日かけて、過去読んだ株式投資関連の本を再読しました。 ファンダメンタル分析で投資対象候補となる会社をピックアップし、上昇トレンドになったら買うというシンプルなやり方は自分には合っていそうです。 ファンダメンタル分析 まず収益還元の観点で重要…

投資のマイルール

スティーヴ・バンズの「ニュートレーダー×リッチトレーダー」を読みました。 対話形式で投資の心構え・リスク管理・テクニックが語られており、とても分かりやすかったです。 何度も出てくるのが「自分なりのルールを作り、愚直にそれを守ることが成功に繋が…

20歳の気持ちで考える

自分がいま20歳だったら何に取り組むか、を考えてみる。 投資と海外留学だろうか。 ファイナンスや統計学の大学授業を受けながら実践すれば、かなり効率よく投資が学べたと思う。 海外留学で語学を伸ばすとともに、感受性豊かな若いうちに様々な文化・考え方…

NETFLIX - 6アンダーグラウンド

お正月の里帰りで新幹線移動中、NETFLIXで6アンダーグラウンドを観ました。 かなりお金を使った撮影を察することのできる大迫力でした。 大部分がアクションシーン 2時間のうち半分ぐらいがアクションシーン(銃撃戦)でした。 大掛かりなセット・大人数での…

財務DDとその他DDの関連

FA業務でクライアントの合併におけるDD準備をサポートしています。 DDと一口にいっても種類が多々あるため、どこまで実施するかはケースバイケース。 財務DDはマストとして、その他のDDの要否を調べてみます。 税務DD 通常は必須です。 合併の場合は相手方の…

良い写真を撮る工夫

今月ミラーレス一眼を購入しました。 旅行、街中などで写真を撮るのが好きなので、趣味として本格的にやってみようと思いまして。 まだ初めて間もないですがとても楽しい。 そして意外と仕事にも活きるのではと考えています。 構図を決める 写真を撮る際に被…

西新宿記念

夜景を撮りに西新宿へ。 20年近く前の大学生時代、クリスマスの時期によく来ていました。 休日夜は閑静だけど豪華なイルミネーションがあって特別感のある街という印象。 東口側とのギャップが新鮮でした。 今見てもあまり変わりばえしない。 いやむしろ渋谷…

セルサイドの事業譲渡と資産譲渡

例えば工場から特定顧客向けのビジネスを切り出して売却する際、 事業譲渡とするか資産譲渡とするかでバリュエーションに必要な手続きが変わってきます。 事業譲渡 事業単位でのバリュエーションとなるため、事業BS・PLが必要となります。 まず全体からカー…

ヤフーとLINEの連携は先の話 - M&Aにおける独占禁止法について

ヤフーとLINEが経営統合することによるサービスの連携がニュースで話題です。 ただし報じられているのは憶測ベースであり、当事者が具体的な協議に入るのはクロージング後になると思います。 独占禁止法による規制 M&Aで同業の会社が統合する場合、独占禁止…

ROICによる価値分析

ROICを見れば、計算した価値の妥当性・源泉を把握することができます。 分析の方法 2つあります。 1つ目はWACCとの比較。 資金の調達コストがWACC・投資マージンがROICとなる関係ですので、WACCを上回らないと価値は出ません。 投資の成果が調達額を下回る=…

TOPIX銘柄入れ替えとβ値の関係

先週TOPIX銘柄入れ替えのニュースが報じられました。 日本企業(とくに中小企業)のβ値が変わることになりそうです。 https://www.iforex.jpn.com/news/金融庁がtopixに代わる株式指数を提言-13550 β値は市場INDEXを参照して計算される DCF方式に用いるWACC…

継続価値の割引計算は、期央か期末か

DCF法では計画最終年度から先の継続価値を現在価値に割り引く必要がありますが、 割引計算に使用する経過期間を期央主義と期末主義どちらにするかという議論があります。 結論からいうと、継続価値を①永久成長で求める場合は期央主義、②売却価値で求める場合…

研修講師の想像力②

講師経験の豊富な方と研修講師をご一緒したのですが、学ぶものがとても多かったです。 自分の後にその方が話す順番だったため、比較しながら聞くことができました。 いきなり詳細な解説に入らず、まず大枠を伝えること。 「例えば皆さんの業務ではこんな場面…