FAS会計士ハヤマの仕事術

大手監査法人を経て、Big4 FASのバリュエーション部門で働く会計士が呟く仕事術 etc.

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

共同支配企業の形成

ストラクチャリングの検討で久しぶりにガッツリ会計基準と設例相手に格闘しました。 もちろん企業結合と事業分離の適用指針。 P社の100%子会社(A社)を持分法適用会社(B社)に吸収合併させるストラクチャーです。 つまりは共同支配企業の形成ですね。 持分…

J-KISSのバリュエーション

知り合いから、ベンチャー企業の資金調達手段J-KISSのバリュエーションについて相談を受けています。 J-KISSとは、発行価額のみ定めて行使価額と付与株式数を未定とできるストックオプションです。 すなわち付与時の正確なバリュエーションは不要です。 行使…

freeeの自動仕訳

freeeを使った記帳業務を効率化すべく、自動仕訳について調べてみました。 口座取引について、口座名と摘要から勘定科目・取引先・部署などのタグを自動で振り分けられます。 登録は仕訳計上時か、CSVでアップロードするか。 使いこなせば便利そうです。

連結子会社と持分法投資先の減損の違い

連結子会社の減損はまずのれんとPPAで計上された無形資産を落として、その後は個別財務諸表上で有形資産の減損というのが典型です。 一方で持分方投資の減損は資産の区別はなく、投資全体で減損の判定を行います。 これは持分法投資は1つの投資勘定で認識さ…

清算時の債権放棄

FAの仕事の中でもストラクチャリングの検討はとくに面白い。 会計・税務の数字面に加えて、法務や人事といった実務の話も絡んで複雑ですがそれだけ奥深いのです。 業績不振の会社の優良事業を他社にカーブアウトして、残った不良事業ごと清算する案件では、…

事業計画における有形固定資産の見積もり

バリュエーションの基礎とする事業計画でB/Sを作成していない場合によく陥るパターンとして、有形固定資産がマイナス残になることがあります。 価値を上げたいがためにCAPEXを抑える一方で減価償却費を高水準とした場合、B/Sを作ってみると有形固定資産残高…

事業譲渡における従業員の退職給付引当金について

M&Aのストラクチャリングとして事業譲渡を採用する場合、退職金制度の引継ぎがしばしば問題となります。 会社全体から見た金額の重要性は高くなくても、従業員のモチベーションに直結することからマネジメントが重要視しています。 従業員からすれば生活かか…

被取得会社の従業員に発行されているストックオプションの取り扱い

ベンチャー企業の買収を検討する際、従業員に発行されているストックオプションの取り扱いが論点になることが比較的よくあります。 たいていIPOをもって権利確定するものなので、権利行使前に処分されることになります。 ではどのような経緯で処分されるのか…

収益認識基準と消費税

監査法人の会計アドバイザリー業務として収益認識基準の導入コンサルティングが流行っているとか。 JSOX, IFRSに続くブームということでしょうか。 いち会計基準の導入で大袈裟だなと思っていましたが、システム改編も絡む大きな問題のようです。 例えば消費…

持分法投資の減損テスト

持分法投資の減損テストを依頼されるときは減損の兆候ありということなので、かなり慎重になります。 というのものれんと異なり持分法投資は年1回の減損テストがマストではなく、減損の兆候ありの場合のみテストを実施します。 従ってたいてい減損が計上され…

PPAのセグメント別CAC

顧客関係をセグメント別にMEEM(釣果収益法)で評価するケースがあります。 PL項目をセグメント別に分けているのはよく見られますが、CACまで分ける事例は少ないです。 セグメントによって保有している資産が大きく異なる場合、CACの内容次第価値が大きく変…

固定資産の成長モデル

モデリングで固定資産の成長を予測することになりました。 よくある論点は、設備投資もしくは減価償却費を売上比連動で予測するもの。 ただし、その方法が成長と整合しているのかどうかは疑問です。 装置産業を前提とすれば固定資産1単位の獲得収益がほぼ決…

伝統的な商社のバリュエーション

商社といえば最近では海外の資源投資が利益の中心となっていますが、昔はモノを右から左へ流して利ざやを稼ぐビジネスモデルでした。 別の見方をすれば売手と買手の間に入って、売手(商社から見たら仕入先)には短期間で仕入代金を支払い、買手(商社から見…

バリュエーションモデルの葛藤

バリュエーションモデルのテンプレートを作ろうとよく考えるのですが、案件ごとに加工する必要が出てきてけっきょく手間がかかるので諦めてしまいます。 完璧に作ろうとするからテンプレートにおさまらないのであって、ざっくり計算で良いと妥協すれば良いの…

WACCの負債比率

WACCの計算で重要な負債比率。 Debt to Capital、Gearingとも言います。 この比率の基礎を何を使用するかで評価結果が大きく変わってきます。 一般的なのは類似会社平均 評価対象会社に類似する会社の平均を用いることが一般的です。 類似会社の平均水準がそ…