FAS会計士ハヤマの仕事術

大手監査法人を経て、Big4 FASのバリュエーション部門で働く会計士が呟く仕事術 etc.

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ROICによる価値分析

ROICを見れば、計算した価値の妥当性・源泉を把握することができます。 分析の方法 2つあります。 1つ目はWACCとの比較。 資金の調達コストがWACC・投資マージンがROICとなる関係ですので、WACCを上回らないと価値は出ません。 投資の成果が調達額を下回る=…

TOPIX銘柄入れ替えとβ値の関係

先週TOPIX銘柄入れ替えのニュースが報じられました。 日本企業(とくに中小企業)のβ値が変わることになりそうです。 https://www.iforex.jpn.com/news/金融庁がtopixに代わる株式指数を提言-13550 β値は市場INDEXを参照して計算される DCF方式に用いるWACC…

継続価値の割引計算は、期央か期末か

DCF法では計画最終年度から先の継続価値を現在価値に割り引く必要がありますが、 割引計算に使用する経過期間を期央主義と期末主義どちらにするかという議論があります。 結論からいうと、継続価値を①永久成長で求める場合は期央主義、②売却価値で求める場合…

研修講師の想像力②

講師経験の豊富な方と研修講師をご一緒したのですが、学ぶものがとても多かったです。 自分の後にその方が話す順番だったため、比較しながら聞くことができました。 いきなり詳細な解説に入らず、まず大枠を伝えること。 「例えば皆さんの業務ではこんな場面…

研修講師の想像力

研修講師の機会が増えています。 社内向け、社外向け(営業目的)、いろいろです。 受講者にとって良い研修はどんなものだろうかというと、共感してもらうことがひとつのゴールかと思います。 講師の説明に納得してもらうことは比較的容易いです。 整理して…

設備投資によるリターンをCFにどう織り込むか

DCF法の評価で、計画最終年度に多額の設備投資を行なっているけど利益にそのリターンが反映されていない場合があります。 永久成長させる継続期間のCFは計画最終年度をベースにするのが一般的ですが、この場合リターンを反映させずに計算してしまうと価値の…

計画期間中に増資予定の会社のバリュエーション

DCF法で評価する会社が計画期間に増資を行う場合があります。 その資金を投資にまわして成長を見込んでいる。 バリュエーションにてその増資によるキャッシュインをどう取り扱うか論点となります。 増資額がその時点のFair Valueを基礎に決められるのであれ…

DCF vs DDM

バリュエーションのインカムアプローチにおいて、DCF法(FCFをWACCで割り引いて事業価値を出し、有利子負債を差し引いて株式価値を算定)とDDM法(配当を株主資本コストで割り引いて株式価値を直接算定)があります。 どちらも株式価値を算定する手法ですが…

ソフトバンクのAI投資は大勢に異常なしか?

ソフトバンクグループはQ2決算にてWeWorkの減損$3.0bnを計上しました。 ただし一時的なものであり、他の投資銘柄含め成長性に問題ないことを決算発表資料にて説明しています。 面白いと思ったのはこちらのチャート。 成功を収めたネット企業の売上成長率とFC…

楽天のLyftへの投資は本当に儲かっているのか?

楽天のQ2決算でLyft株の減損として923百万米ドルが計上されました。 一方で楽天の決算発表資料をみると、対投資額で見たリターンは高水準であり儲かっている記載されています。 本当でしょうか? 楽天の主張 楽天は以下のチャートでROIおよびIRRが2桁のプラ…

顧問税理士によるM&Aアドバイザリー

中小企業が売却ニーズ(事業承継含む)を持った時、まず相談するのは顧問税理士が多いそうです。 M&Aアドバイザリーとしてのスキルを持つ税理士は少ないかもしれませんが、会社の内情に詳しく経営者から信頼されている強みを活かせそうです。 メインとなる業…

のれん償却期間の実務

日本基準ではのれんは20年以内で償却する必要がありますが、その償却期間はどのように決めるのか議論になります。 会計基準上では、買収される会社に見込まれる超過収益力の効果の発現期間を会社の実態に合わせて決めるとありますが具体的な方法は書かれてい…

バリュエーションモデルの体裁

目的に応じてバリュエーションモデルの体裁を変えるべきという話。 プレゼンテーション目的であれば、なるべく1シートに計算をまとめる。 DCFでいうとP/L売上からFCFまで集計して割引いて事業価値を出して、そこから営業外資産負債・ネットデット調整を経て…

独立と稼ぎとやり甲斐

監査法人時代の仲良い先輩の海外駐在が決まり、先輩の同期中心の壮行会にご一緒してきました。 その世代は監査法人に残っていればパートナー手前ぐらいの世代ですが、一方で辞めた方々のうちけっこうな割合が独立開業しています。 そこで話題になったのが、…

提案書にtableauを用いる

我が社もご多分に漏れずデータアナリティクスに力を入れています。 tableauを使ったビジュアライズもそのひとつで、提案書に用いてみました。 マルチプルのヒストグラムと、マルチプルとROICの散布図です。 操作に慣れるのは苦労しますが、使いこなせれば手…

渋谷の変化を実感

オープンしたばかりの渋谷スクランブルスクエアに行ってきました。 大人向けの街づくりコンセプトに違わない素敵な施設だと思います。 ヒカリエ開業から始まった渋谷再開発ですが、スクランブルスクエア開業で渋谷の中心部は今後駅東側に移ることが目に見え…

存在しないものを想像する力

星野智幸さんの「ててなし子クラブ」という短編小説を読みました。 父親を亡くした高校生たちが父親の話題を想像してお喋りをする、という作品です。 存在しないものがどう振舞うかを具体的に他人に伝えるという高度な想像力に打ちのめされました。 終盤では…

合理的な宗教

代々木上原のモスク「東京ジャーミィ」。 イスタンブール旅行以来モスクが好きになり、日本最大のモスクにはずっと行きたいと思っていました。 運良く館内ツアーのタイミングの入館となり、ガイドの説明を聞きながら鑑賞することができました。 外観はイスタ…

株式譲渡契約のポイント

株式譲渡契約の研修にて。 株式は単なる物ではなく会社そのものであるため、譲渡契約は複雑なものになりがちです。 売手と買手のトレードオフを勘案しつつwin-winで締結できれば理想的ですが、立場が異なるとすり合わせは難しくなります。 完璧に納得行くま…