FAS会計士ハヤマの仕事術

大手監査法人を経て、Big4 FASのバリュエーション部門で働く会計士が呟く仕事術 etc.

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

統計学に基づく疑い

改めて統計学を勉強し直しています。 コロナのニュースと関連づけると面白そうです。 ニュースで伝えられる専門家の意見を理解するうえで大切なことは3点かと思っています。 ① 根拠はあるのか? ② その根拠と意見に因果関係はあるのか? ③ その根拠の説明力…

ROE偏重経営の是非

日経にROE偏重経営のもろさについての記事が掲載されていました。 https://r.nikkei.com/article/DGXMZO5742458030032020SHA000?disablepcview=&s=5 記事の中ではアメリカの航空会社がROEを上げるために自社株買い等でEquityの圧縮を過度に進めたことで、コ…

ブログのネタ探し

毎日ブログを更新しようと決めて続けていますが、ネタ探しに苦労します。 仕事の経験をそのまま書くのは楽ですが、コロナ下でプロジェクトが減っているし、記憶をなぞるだけなので本人としては書いていて面白みがありません。 新聞やネット記事をネタにする…

政府補償の有効性について

欧米で農業季節労働者の確保が難航しているそうです。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58516260W0A420C2FF8000/ これから収穫時期を迎えますが、東欧やメキシコからの出稼ぎ労働者の移動が制限されていることから人手不足が見込まれています。 それな…

リモート監査時のモチベーション

なんと日経でリモート監査について大々的にとりあげられていました。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58510810V20C20A4EA1000/ 監査から離れてまだ数年ですが、私が現役だったころには想像し難かった状況です。 まあ必要な証憑がデータで閲覧可能で、…

コミットメントの効果

複数の人間が互いの出方をうかがいながら行動する戦略的な状況の中では、敢えて自分の選択肢を狭めて「最適な戦略をとれないようにする」ことで、相手の行動が自分にとって有利に変化する効果を生む。 これが経済学のゲーム理論で出てくるコミットメントであ…

自社株買いによる株価上昇?

コロナショックにより多くの銘柄で株価が下落する中で、一部の日本企業は自社株買いで株価を上昇させているとの記事がありました。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58414790T20C20A4EN1000/ 自社株買いで市場に流通する株数が抑制される一方で企業価…

期待効用モデルと投資心理

結果が不確実なとき、人は期待効用が最大化するように行動することを「期待効用モデル」という。 期待効用とは効用の期待値、別の言い方をすれば、結果にどれだけ満足できるかの予測値です。 株式投資の場面ではこの期待効用を過度に見積もっているんじゃな…

バリュエーション基準日後の借入増の取扱

買収対象先が、バリュエーション基準日後に借入を増やしたとします。 この場合、基準日時点の借入が増えたとみて(ネットデットの増加)マイナス評価すべきでしょうか? 結論は原則Noです。 借入金の見合いで投下資本の増額(運転資本・設備投資)または余剰…

新型コロナ下の減損テスト

ASBJから「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」が公表されました。 会計上の見積りを行う上では,「感染症の影響については企業自ら一定の仮定を置くことになり得る」「その仮定が明らかに不合理でなければ事後的な結果との…

監査人のジレンマ

経済学のゲーム理論でナッシュ均衡という概念があります。 ナッシュ均衡の条件はこちら。 ①自分ひとりだけが戦略を変えても得をしない状態 ②各人の戦略が互いに最適反応となっている状態 ナッシュ均衡の例示として有名なものが「囚人のジレンマ」です。 2人…

M&Aアドバイザリー業務の変容

今後M&A件数の減少とともにアドバイザリー業務を取り巻く環境はおおきく変わりそうです。 まずM&A件数の減少により報酬が下落します。 アドバイザーの数は変わらないので、より買手(発注者)市場になっていくでしょう。 景気が良かった頃の30%減ぐらいでし…

新型コロナのインターネットビジネスへの影響

外出規制により、インターネット需要が増えています。 在宅勤務で自宅の回線につなぐのですが、同じ状況の人たちが多いせいか以前に比べて明らかに速度が遅いです。 こんな状況だからインターネットビジネスは儲かるだろうし株価は上がっているんだろうなと…

M&Aの価格交渉②

売手目線で提示する価格を決めるにあたり基礎とする価値には2種類あります。 ①売却対象そのものの価値 株であったり事業であったりする売却対象そのものの価値です。 買手が受け取るもの自体の価値ですので買手としてはわかりやすい。 一方で買手がトランザ…

M&Aの価格交渉

FA業務の中でバリュエーション結果に基づいた価格交渉戦略をアドバイスする機会があります。 その際気をつけている点をまとめてみました。 ①交渉スタンス 交渉タイプはゼロ・サム交渉(固定されたパイを分け合う交渉)とプラス・サム交渉(パイそのものを拡…

在宅共働きで大切なこと

我が家では夫婦ともに在宅リモートワーク中です。 3月下旬から私が、4月に入って妻が、会社に行くことが無くなりました。 初めての経験で不仲にならないかと心配でしたが、今のところうまくいってると思います。 大切にしているのは「適度な距離感」です。 …

財務モデルのレビュー

仕事柄、多くの財務モデルをレビューします。 チームメンバー、クライアント、他ファームのアドバイザーなど作成者は様々ですが、レビューコメントは大体似たようなものになります。 それは前提条件の整理が不足している点。 例えば以下のFCFモデルには3点コ…

コロナとオリンピック銘柄

新型コロナウイルスの影響で下がった日本銘柄も、東京オリンピック延期の正式決定や、緊急事態宣言により若干持ち直してきました。 一方でオリンピック銘柄と言われる銘柄の株価回復にはまだ時間がかかりそうです。 こちらは2020年2月の株価を100%として、日…

売手目線のカーブアウトPLに共通費をどこまで含めるか

自社の事業をカーブアウトして売却したいと考えたとき、売手はまずカーブアウト財務諸表を作成します。 PLを作成するにあたり共通費の範囲を決める必要がありますが、バリュエーションをどのような観点で実施するかによって変わってきます。 買手に提示する…

インプットの時間

コロナの影響でプロジェクトの動きがスローになり、かつリモートワークで通勤時間がゼロなので、浮いた時間は本を読んでインプットに充てています。 古い本を読み返しているのですが、今読み返すと以前理解できなかった論点がすんなり入ってくることが多々あ…

カーブアウト財務諸表作成からのバリュエーション(ROIC分析)

売手クライアントが売却検討している事業のカーブアウト財務諸表作成からバリュエーションまでサポートする仕事。 それにROIC分析を組み合わせたら面白いんじゃないかと考えて試行錯誤しています。 カーブアウト財務諸表作成はもともと区分管理されていない…