FAS会計士ハヤマの仕事術

大手監査法人を経て、Big4 FASのバリュエーション部門で働く会計士が呟く仕事術 etc.

ROICによる価値分析

ROICを見れば、計算した価値の妥当性・源泉を把握することができます。

 

分析の方法

2つあります。

 

1つ目はWACCとの比較。

資金の調達コストがWACC・投資マージンがROICとなる関係ですので、WACCを上回らないと価値は出ません。

投資の成果が調達額を下回る=価値が簿価純資産を下回ることになります。

 

2つ目はROICの分解。

「ROIC = 税後営業利益 / 投下資本」を分解すると、「ROIC = 税後営業利益 / 売上 × 売上 / 投下資本」となります。

分解後の右辺1つ目はNOPATマージン、2つ目は投下資本回転率となります。

それぞれの水準感を見ることで、P/LサイドとB/Sサイドどちらが収益源泉(価値の毀損要因)であるのかが把握できます。

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例えば

WACC7.5%に対してROIC5%となり、思ったような価値が出ない。

ROICを分解するとNOPATマージン2.5%は業種平均と一致するが、投下資本回転率が業種平均3.0に対して2.0であった。

さらに資産種別に分類すると在庫回転率が著しく低く、これは在庫の滞留が生じているためである。

 

分析結果の活用

分析結果はクライアントへの説明、計画の見直し、価格交渉の材料などに活用できます。

ぜひ試してみてください。