財務モデルのレビュー
仕事柄、多くの財務モデルをレビューします。
チームメンバー、クライアント、他ファームのアドバイザーなど作成者は様々ですが、レビューコメントは大体似たようなものになります。
それは前提条件の整理が不足している点。
例えば以下のFCFモデルには3点コメントがあります。
①売上増加にかかわらず販管費が増加しないのはなぜ?
事業規模拡大による間接費(人件費など)の増加があるかもしれません。
PL項目は売上と原価は想定しやすいのですが、販管費までなかなか気にまわらないですよね。
精緻な見積もりはできないと思うので、ざっくりした想定(売上成長や人員増に比例など)をおくことが多いです。
②売上増加にかかわらず運転資本が増加しないのはなぜ?
売掛金・在庫・買掛金などは取引量が増えれば増加するのが自然だと思います。
現時点の残高が大きく回転期間が短縮されるのかもしれませんが、外部に説明できた方が望ましいですね。
運転資本増減はバリュエーションにも影響するので気を付けるポイントです。
③売上増加にかかわらずCAPEXが増加しないのはなぜ?
製造業であれば生産を増やすためのCAPECが必要になりそうです。
売上増加にかかわらずCAPEXが増加しないとすれば、余剰の設備を活用するということになるのですが本当でしょうか。
とくに②③といったBS科目の想定が不足していることがよくあり、またバリュエーションへの影響が大きくなります。
例示したモデルは数字が横引きだったりゼロだったりで分かりやすいのですが、実務では一見問題ないように見えて実は前提に問題があるケースに気を付けなければなりません。
その場合はROICの水準を見て、問題点を探ります。
ROICの話はまた別の機会で。