TOPIX銘柄入れ替えとβ値の関係
先週TOPIX銘柄入れ替えのニュースが報じられました。
日本企業(とくに中小企業)のβ値が変わることになりそうです。
https://www.iforex.jpn.com/news/金融庁がtopixに代わる株式指数を提言-13550
β値は市場INDEXを参照して計算される
DCF方式に用いるWACC計算において、β値が使用されます。
WACC = リスクフリーレート + 資本リスクプレミアム x β + 負債コスト x (1 - 税率)
β値は個別企業と市場INDEXの株価の相関関係を示す指標です。
日本の市場INDEXはTOPIXが代表的ですので、TOPIXの中身が変わるとβ値の計算結果も変わります。
中小企業の評価への影響が大きい
例えばとある企業の株価が10%上昇したのに対して、TOPIXも10%上昇していればβ値は1.0です。
一方でTOPIXが5%の上昇にとどまった場合、β値は2.0となります。
現状のTOPIXは東証一部に上場している全企業から構成されていますが、これを大企業中心に再構成するのが今回の入れ替えです。
この場合、中小企業のβ値への影響が大きくなると予想されます。
一般的に中小企業は大企業よりも株価のボラティリティが大きいため、個別企業のボラティリティは大きくなり、市場INDEXのボラティリティは小さくなります。
結果としてβ値が上昇することになります。
他にもバリュエーションへの影響が出てくることが予想される
過去からの連続性も問題になりそうです。
実務上β値は過去2〜5年の平均を取っていますが、過去のINDEXが評価時点と異なる場合補正が必要になると思います。
バリュエーション実務に携わる方には悩ましい問題なので、要確認です。