新型コロナ下の減損テスト
ASBJから「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」が公表されました。
会計上の見積りを行う上では,「感染症の影響については企業自ら一定の仮定を置くことになり得る」「その仮定が明らかに不合理でなければ事後的な結果との間の乖離は『誤謬』にあたらない」「仮定及び見積りについて具体的に開示する必要がある」などとする考え方が示されています。
減損テストに際しては、新型コロナによる将来の収益変動リスクをキャッシュフローと割引率のどちらに盛り込まれていることを確認することが必要です。
キャッシュフローはすなわち事業計画であり、販売の数量・価格、仕入れの数量・価格、資金調達への影響を考えます。
新型コロナの感染がいつまで続くか、影響範囲がどこまで及ぶかはわからないので、一定の仮定を置いてシミュレーションすることが求められています。
例えば「6月まで販売数量が前年比20%落ち込んで年末にかけて徐々に前年並みに回復する」など。
その仮定がマーケットの予測や会社の現状から考えて、あきらかに不合理でなければ許容されます。
割引率にリスクを盛り込む場合、過去データから計算された割引率に将来のリスクによるプレミアムが加算されることになるでしょう。
ただしプレミアムの見積もりはとても難しいです。
どのマーケット情報からどのように見積もるのか、その見積もりは会社の状況に当てはめることが妥当なのか、といった検討が必要になります。
例えば新型コロナの影響で株価が変動し始めた2月から直近にかけてのボラティリティに対するリスクプレミアムを見積もる、など。
どちらも検証は難しいのですが、個人的にはキャッシュフローに盛り込んでもらう方が双方に納得感があると思います。
投資家から見たときにもわかりやすいです。
割引率は専門的すぎてわかりづらいです。