FAS会計士ハヤマの仕事術

大手監査法人を経て、Big4 FASのバリュエーション部門で働く会計士が呟く仕事術 etc.

バリュエーション基準日後の借入増の取扱

買収対象先が、バリュエーション基準日後に借入を増やしたとします。

この場合、基準日時点の借入が増えたとみて(ネットデットの増加)マイナス評価すべきでしょうか?

 

結論は原則Noです。

借入金の見合いで投下資本の増額(運転資本・設備投資)または余剰資金が増額しているはずなので、オフセットされます。

 

例えば2019年12月末(バリュエーション基準日)に借入金ゼロだった会社が、2020年1月に100借り入れたとします。

このときバリュエーションを-100とはしません。

 

この借入が運転資本調達目的(売掛金回収までの運転資金)だとすれば、売掛金が見合いで増額するため差し引きゼロです。

つまり売掛金が回収されることでキャッシュフローがプラスとなるので、借入のマイナスとオフセットされます。

 

もしくは設備投資に使用されたとすれば、固定資産が見合いで増額されます。

DCFを前提とすれば、CAPEXのマイナス負担が無くなりキャッシュフローはプラスとなるので、こちらも借入のマイナスとオフセットされます。

 

手元キャッシュとして残っていれば、余剰資金として株式価値のプラスとしてカウントされます。

 

ただし配当されてしまった場合は話が別です。

会社から資金が出てしまうので、この場合は価値マイナスです。

 

借入資金が社内に留まっているか、社外に流出したか、がポイントです。