DCF vs DDM
バリュエーションのインカムアプローチにおいて、DCF法(FCFをWACCで割り引いて事業価値を出し、有利子負債を差し引いて株式価値を算定)とDDM法(配当を株主資本コストで割り引いて株式価値を直接算定)があります。
どちらも株式価値を算定する手法ですが、使用場面が異なります。
DCF法はコントロールベースかつ有利子負債水準が一定の場合
DCF法はFCFを基礎とすることからコントロールベースの評価となります。
また株主資本と有利子負債の割合を一定と仮定したWACCで割り引くことから、事業計画上の有利子負債の変動が小さい必要があります。
DDM法はマイノリティベースかつ有利子負債水準が変動する場合
DDM法は配当を基礎としており、マイノリティベースの評価となります。
有利子負債にかかる支払利息・元本返済を考慮した後のキャッシュフローとなるため、事業計画期間で有利子負債水準が変動しても問題ありません。
どちらの方が価値が大きくなるか
理論的には両者の評価結果は一致します。
ただしDCF法で有利子負債の水準を完全に見通すのは難しいこと、マイノリティディスカウントの水準は決めの問題であることから実際はずれます。
上述したコントロールorマイノリティ、有利子負債一定or変化の観点でケースバイケースで選択する必要があります。