FAS会計士ハヤマの仕事術

大手監査法人を経て、Big4 FASのバリュエーション部門で働く会計士が呟く仕事術 etc.

楽天のLyftへの投資は本当に儲かっているのか?

楽天のQ2決算でLyft株の減損として923百万米ドルが計上されました。

一方で楽天の決算発表資料をみると、対投資額で見たリターンは高水準であり儲かっている記載されています。

本当でしょうか?

 

楽天の主張

楽天は以下のチャートでROIおよびIRRが2桁のプラスであることをもって、高リターンで儲かっていると主張しています。

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ここで着目したいのはIRR14%です。

 

ベンチャー投資に見合うIRRか?

14%というリターンは一般の株式投資のリターンに比べればたしかに高いです。

米国の株式リターンが概ね6%ですから、倍ぐらいですね。

ただし気をつけなければならないのは、Lyftに投資したのはIPO前ということ。

つまりベンチャー投資なんですね。

ベンチャー企業は上場会社に比べて一般的にリスクがありますから、求められるリターンは高くなります。

米国の公認会計士協会が発表しているベンチャーキャピタルを対象にした調査によれば、IPO前のステージのベンチャー企業に対する期待収益率IRRは概ね30%です。

この水準と較べると、14%のIRRはむしろ低いです。

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水準感の確認が重要

プラスのリターンは元本保証型の社債に投資するだけでも得られます。

リターンがプラスであるだけで納得せず、その水準が投資銘柄に見合ったものかを確認することが重要です。