債権流動化とバリュエーション
週明けに債権流動化を実施している会社のバリュエーションを提案します。
債権流動化を実施していてもしていなくても実質的な価値は変わらないのですが、
他社と比べて資本構成・営業利益水準が変わってくるのでマルチプルを使用する場合には調整が必要です。
債権流動化とは
ファクタリングともいいます。
会社は売掛債権を業者に売却することで、回収期日前の入金が可能となります。
ただし業者に対する手数料支払いが発生します。
売掛金の回収サイトが長い建設業、人件費の支払いが先行するサービス業等の利用が多い。
バリュエーションに必要な調整
B/S, P/Lのそれぞれで調整が必要です。
B/S⇒売掛金と短期借入金をグロスアップし、借入による資金調達を行ったと想定
P/L⇒支払手数料(回収手数料)を支払利息(借入金にかかるもの)に振替
バリュエーションの考え方
同業種であっても債権流動化を実施している会社と実施していない会社が存在するため、マルチプルで評価する場合は前提をそろえる必要があります。
例えばEV/EBIT倍率を使用する場合、EVは短期借入金・EBITは支払手数料に違いが生じるため上記の調整をします。
またROE、ROICといった指標で比較する場合も同様です。
なおDCFで評価する場合は、諸説ありますが個人的には結果は変わらないと思います。
BSの調整で割引率が低下(借入のレバレッジ効果)する一方で短期借入金は増加し、行ってこいになる気がしています。
この点はプロジェクト進める中で確認できればと思います。