DCF法 vs リアルオプション法
今日も都立中央図書館で統計&プログラミングの勉強。
お盆期間の休日はほぼこちらに来ています。
うちから自転車で30分ほどかかりますが、自宅やカフェよりも圧倒的に集中できるので十分もとが取れます。
まとまった時間を確保してがっつり勉強したい方にはおすすめです。
今日勉強した項目はリアルオプション分析による事業価値評価。
事業価値評価といえばDCF法が主流ですが、昨今のリスクに満ち満ちたグローバルビジネスにおいては静的なDCF法はもはや時代遅れであるという意見があります。
軌道に乗ったときの事業拡大、大きなトラブルによる撤退といったオプション(選択権)が重要な価値を持つとの前提から、これらを評価に盛り込む考え方があります。
DCFの限界
DCF法の世界における企業の意思決定は、いま行うか、あるいは決して行わないかの二つしかないといわれます。
ただ現実の世界での意思決定は、将来ビジネスを実施するなかで様々な条件を検討のうえ成されるものであり0か1ではありません。
キャッシュフローで表現するには途方もないパターンを設計する必要があり、また各パターンのリスクを考慮した割引率の設定もまた膨大になります。
バリュエーターとしては膨大な作業で多額の報酬をいただくことは嬉しいですが、それにも限度というものがあります。
リアルオプション法とは
そこで出てくるのがリアルオプション法。
モンテカルロシミュレーションにより何万、何十万というシナリオ(キャッシュフロー)を市場データから推定された客観的なパラメーターに基づいて生成し、それぞれのシナリオ上での経営者の意思決定をファイナンス理論に基づいて合理的に評価します。
また事業の不確実性は、その源泉から確率的にとらえられるので、割引率でリスクを調整する必要はなく無リスク金利を唯一の割引率として使用します。
インプット項目が定まれば、エクセルのVBAプログラミングにより手軽に評価が実施可能です。
実務での利用
もはや無敵のリアルオプション法と思われてしまいそうですが、実務での利用は限定的です。
事業の不確実性をすべて洗い出し、一定の仮定を置いて定量化してインプット項目を定める必要がありますが、この作業が非常に難しい。
例え苦労してインプット項目を定めたとしても、所詮仮定の世界で正解はありませんから外部からの突っ込みに耐え抜くのはさらに難しいでしょう。
現状では、資源・インフラなどの長期のキャッシュフロー・リスクを比較的見込みやすい事業について、社内の意思決定目的で使われている程度です。
DCF法を超えることは現状では考えづらい。
ただし理論的には優れているものなので、インプット項目を定めるための仮定の精度があがり、さらに利害関係者の理解が深まれば(難解な理論なので相当ハードル高いですが)、いつか主流になるかもしれません。