FAS会計士ハヤマの仕事術

大手監査法人を経て、Big4 FASのバリュエーション部門で働く会計士が呟く仕事術 etc.

クロージング時点ののれん・無形資産の減損

三菱重工ボンバルディアから取得する小型旅客機事業について、のれんと無形資産をクロージング時点(20年6月)で減損すると発表しました。

取得価額590億円程度(19年6月発表)に対して、減損額500〜700億円程度です。

https://www.mhi.com/notice/pdf/notice_20200506_jp.pdf

 

取得後即減損であれば買収しなければ良いじゃないかと思いますが、2019年6月に金額まで含めて合意しており動かせなかったということでしょう。

シナジーを見込んでいたスペースジェット事業の遅延、新型コロナショックによる航空機需要の減退といったイベントが合意後に発生。

クロージング時点の評価では価値が減少してしまったようです。

なおクロージング時点で将来CFが予測できないということであれば、無形資産は認識できないのでのれんのみ計上した後に減損になると思います。

また取得価額を超える額の減損ということで、クロージング時点で認識するのれんと無形資産以外の既存資産についても減損するようです。

 

三菱重工はとんだ貧乏くじを引かされた格好となります。

そもそも買収合意の19年6月からクロージングの20年6月まで1年空くことが見えていたのであれば、この間の事業リスクを担保するMAC条項(https://www.marr.jp/yougo/detail/19)を結んでおくべきだったかもしれません。

スペースジェット事業の遅延を取り戻すため、三菱重工が前のめりになっていたのでしょうか。