線形か非線形か(直線か曲線か)
「データを正しく見るための数学的思考 数学の言葉で世界を見る」という本を読んでいます。
理解不足が多々ありますが、考え方のエッセンスを知るだけでも面白いです。
第1部は線形性について。
線形(直線で比例的に増加)で説明される事象が、実は非線形(曲線である点を超えると反比例的に減少)であったりする。
増加し続けるにも限度があって、どこかで破綻するということ。
例えば税率と税収の関係について。
横軸に税率、縦軸に税収をとると、税率が上がれば税収は増える。
ただし税率を上げすぎると労働意欲が下がって課税所得が減るので、税収も減ることになる。
他にも財務レバレッジ(上げすぎると倒産リスクが高まる)やお金に対する欲望(儲けすぎると寄付する、ビルゲイツ)なども同じか。
時系列で考えて、最後まで想像しきること。
自分の頭できちんと考えることが大切だと思いました。
J-REITの株価低下
コロナショックでJ-REITの株価が軒並み低下しています。
東証REIT指数は2月から3月にかけて2,200から1,200まで低下し、直近で1,600まで戻しています。
外出自粛による小売りやホテルといった物件から退去が予想されることがひとつの要因ですが、加えて投資家の換金売りも株価低下を加速させたようです。
というのもJ-REITの運用資産の内訳をみるとオフィスが40%程度を占めており、住宅も15%程度あります。
オフィスや住宅は不動産の中でも比較的景気に左右されず安定収益が見込めるので、過度に悲観する必要はないのではないでしょうか。
とはいえリモートワークや地方移住が進む可能性があるので長期的には退去の影響があるかもしれません。
まだまだ未知数であり株価に織り込みずらく、今の株価が妥当かどうかは判断が難しそうです。
破産を促進させるかどうか
コロナによる破産の抑制策がとられているようです。
中小企業の破産回避へ倒産基準緩和
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58624140Z20C20A4MM8000/
ただし破産すべきなのに先延ばしになってしまうことは避けるべきです。
経営者の中には、延命しても回復の望みがないのであれば早々に破産して次のスタートを切りたいと思うかもしれません。
またリーマンショック後に話題になったゾンビ企業の発生につながるかもしれません。
申請義務を免除するだけなので、経営者にきちんと選択の余地が与えられていることは良いことだと思います。
なお日本ではIT化の遅れで、破産の申請受付が滞っているようです。
こちらは早く改善してもらいたいものです。。。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59019640S0A510C2EA1000/
アドバイス
尊敬するボスからの有難いアドバイス。
① 言い切る
- クライアントに対して、自らの判断でアドバイスを言い切る。
- 後でボスに相談します、とは逃げない。
- 言い切るためには事前のロジック整理が必要。あとからボスに突っ込まれたときにブレないように。
- 別の言い方をすれば、ポジションを取るということ
- ボスの役割は高度な知識とセクター特性の提供に限定。既存の情報から組み立てられるロジックは作りきる。
② 方向性
- クライアントから大体の話を聞いて、着地点の見通しを立てる
- 着地点に向けて必要な情報を収集
- 無駄な作業に時間を割かない
- 網羅的に確認するため、重要度の落ちる情報もスタッフに網羅的に確認してもらう
- 10人のうち7人が納得できるものを目指す
新興国の感染拡大
新規感染者数について、新興国が先進国を超えました。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO5891593009052020MM8000?disablepcview=&s=5
人口が多く密集していること、財政状態が貧弱なため経済活動を早期に再開せざるを得ないことが主な要因のようです。
また医療体制(設備、医者の質など)が整っていないことも大きい要因ではと個人的に思います。
先進国の新規感染者数は頭打ちとなり回復傾向が見られますが、新興国はこれからピークを迎えてかつ長期化が見込まれます。
平常時であれば先進国が新興国に資金援助等でサポートするところですが、今回は先進国も自国のケアで手一杯ですので十分なサポートは難しそうです。
世界全体の経済活動がコロナ前に戻るまでには時間を要するでしょう。
この間、先進国と新興国の格差はますます広がるはずです。
新たな対立の火種が生まれるでしょうから、更なる混乱は避けられそうにありません。
乱数の活用
ファイナンスの問題をシミュレーションするにあたり、乱数の利用が必要になってきます。
FAS業務ではオプション評価、プライベートでは投資の成果予測。
一様乱数は、規則性なくランダムに発生する乱数です。
正規乱数は、正規分布する乱数です。
正規乱数の方がよく使われると思います。
正規分布する前提に立てば、平均と標準偏差の情報を加えて株式投資のリターンをシミュレーションすることができます。
また支出が株式投資のリターンと相関するとすれば、収支計算までシミュレーションも可能です。
シミュレーション結果自体よりも、シミュレーションするために投資のリスク・リターンを細かく考えるプロセスが有用なのではないかと思います。
事業計画の作成と似てますね。
この備えの有無がいざリスクが顕在化した際に素早くアクションできるかどうかにつながります。
クロージング時点ののれん・無形資産の減損
三菱重工がボンバルディアから取得する小型旅客機事業について、のれんと無形資産をクロージング時点(20年6月)で減損すると発表しました。
取得価額590億円程度(19年6月発表)に対して、減損額500〜700億円程度です。
https://www.mhi.com/notice/pdf/notice_20200506_jp.pdf
取得後即減損であれば買収しなければ良いじゃないかと思いますが、2019年6月に金額まで含めて合意しており動かせなかったということでしょう。
シナジーを見込んでいたスペースジェット事業の遅延、新型コロナショックによる航空機需要の減退といったイベントが合意後に発生。
クロージング時点の評価では価値が減少してしまったようです。
なおクロージング時点で将来CFが予測できないということであれば、無形資産は認識できないのでのれんのみ計上した後に減損になると思います。
また取得価額を超える額の減損ということで、クロージング時点で認識するのれんと無形資産以外の既存資産についても減損するようです。
三菱重工はとんだ貧乏くじを引かされた格好となります。
そもそも買収合意の19年6月からクロージングの20年6月まで1年空くことが見えていたのであれば、この間の事業リスクを担保するMAC条項(https://www.marr.jp/yougo/detail/19)を結んでおくべきだったかもしれません。
スペースジェット事業の遅延を取り戻すため、三菱重工が前のめりになっていたのでしょうか。