流行りのみなし配当
お盆期間最終日も図書館。
節税策としても有名で、一昔前でいえばIBMの中間持株会社による日本法人の自己株式譲渡スキーム、最近でいえばヤフーによるソフトバンクグループからの自己株式取得(からのソフトバンクへの譲渡)スキームで有名ですね。
みなし配当とは
みなし配当とは、株式を譲渡した際に、その出資比率が対応する資本金等の額を超える部分の金額を税務上は配当とみなすものです。
要は受け取る額のうち資本の払い戻し以上の剰余部分は配当と同じでしょう、というもの。
自己株式の譲渡を例にするとわかりやすいです。
A社とB社がいて、A社が保有するB社株20%(100円)を200円でB社に譲渡するとします。
会計上のA社の仕訳は以下の通り。
Cash 200 / 自己株式 100
/ 譲渡益 100
税務上はこのうち譲渡益部分にみなし配当が含まれます。
B社の資本金等を800とすると、みなし配当は40(譲渡額 200 - 資本金等 160(800 x 20%))となります。
税務上はみなし配当40、譲渡益60となります。
節税スキーム
みなし配当を利用した節税方法には2種類あるといわれます。
まず配当の益金不算入。
みなし配当は実質配当ですから、(支配関係の度合いにもよりますが)税務上の益金不算入となります。
次にみなし配当と譲渡損が両建てで計上された場合。
みなし配当は益金不算入となる一方、譲渡損は損金算入されますので節税メリットがとれます。
極端な例でいうと、100円で株式を取得して即100円で売却した場合、みなし配当100と譲渡損100が両建てで計上されます。
ここで譲渡損100を節税メリットとして利用できることになります。
租税回避防止
節税メリットがとれるみなし配当の制度ですが、とくに譲渡損との両建てスキームは乱用する事例が続出したため制度改正が進んでいます。
例えば完全支配関係のある親会社と子会社間で両建てスキームを試みると、譲渡損部分は資本のマイナスとして処理されることになり今では損金算入できなくなっています。
一方で最近ではソフトバンクグループがヤフー株をソフトバンクに単に譲渡するのではなく、いったんヤフーが自己株式として取得するステップを介することで、資本金等と譲渡価額の差額を譲渡益ではなくみなし配当として計上することで益金不算入とする新たな利用が発生しています。
依然として見直しの余地はありそうな制度です。